福田さんのサイト``Three Body Problem''も合わせてご覧ください. http://kilin.clas.kitasato-u.ac.jp/3body/
福田さんは,Lennard-Jones potentail
U=1/r^{12}-1/r^6 のもとでの三体8の字解をたくさん見つけました.
プレプリントは以下に置いてあります:
[1] H. Fukuda, T. Fujiwara and H. Ozaki,
Figure-eight choreographies of the equal mass three-body problem with Lennard-Jones-type potentials,
http://arxiv.org/abs/1606.08760
このプレプリントの中に見つけた解が掲載されています.
Lennard-Jonesポテンシャルのもとでの三体8の字解の存在は,L. Sbanoの2004年の講演
SPT 2004 (イタリア,Cala Gonone)
で示されていました.
この講演の中で彼は,
``十分大きな周期に対して,少なくとも2つの解が存在するだろう''と予言していました.
しかし,Sbano自身は一つの解しか見つけられませんでした.
今回,福田さんが見つけたのは,その2つ目以降のたくさんの解です.
[2] L. Sbano,
Symmetric solutions in molecular potentials,
Proceedings of the international conference SPT 2004,
World Scientific, 2005
[3] L. Sbano and J. Southall,
Periodic solutions of the N-body problem
with Lennard-Jones type potentials,
Warwick preprint, June 2007
[4] L. Sbano and J. Southall,
Periodic solutions of the N-body problem
with Lennard-Jones type potentials,
Dynamical Systems Vol. 25 #1, 2010
以下のアニメーションは,福田さんが見つけたたくさんの解のほんの一部です.
以下の図は,上のアニメーション3の軌道を``形平面 shape plane'' q_3(t)/(q_2(t)-q_1(t)) に
表示したものです.
より精細な図は 20160703LennardJonesFig3Shape3.pdf に置いてあります.
X 軸は``形球 shape sphere''の赤道に対応します. X軸(赤道)上の任意の点は,3つの粒子が直線上に並んでいる状況を表します. Y軸と2つの円は``形球 shape sphere''の互いに 2\pi/6 (120度)の角度で交わる経線に対応します. Y軸状と2つの円状の任意の点は,3つの粒子が二等辺三角形の形状に並んでいる状況を表します.
赤の曲線は,解の軌道のうち,時間 [0, T/3] の部分を``形平面 shape plane'' 上で表したもの. 緑と青の曲線は,同様に時間 [T/3, 2T/3] および [2T/3, T] の部分を表しています.
赤い曲線に注目してください.
時刻 t=0 に,軌道は二等辺三角形配置 I_0 を出発します.
時刻 t=T/12 に,軌道はオイラー配置 E_1 を通過します.
そして,時刻 2T/12 には二等辺配置 I_1 に到達します.
以下同様に,
I_0(t=0) --> E_1(T/12) -->I_1(2T/12) --> E_2(3T/12) --> I_2(4T/12=T/3)
という具合になります.
つまり,時間 [0, T/3] の間に, 軌道はちょうど2つのオイラー配置 E_1 と E_2 を通過します. 二等辺三角形配置について言えば, この間にたくさんの二等辺三角形配置を通過しますが, I_0, I_1 そして I_2 を通る際だけが経線に垂直です. これが三体8の字解に求められている性質です. したがって,確かにこの解は``三体8の字解の一つ''です.