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Ⅰ.研究内容 主に動物のスフィンゴ糖脂質の構造解析,系統分類と分布の解析,データベースの作成を行っている。また寄生虫学や神経内科学の研究者と糖脂質が関与する疾患等についても共同研究している。 |
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【現在行っている研究】 1.構造解析,機能との関係 (1)脊椎動物の進化に伴う脳のガングリオシド組成解析の過程で,軟骨魚類脳からいくつかの新ガングリオシドを発見し,その構造を決定した(例は下図。連続した3つの糖残基にシアル酸が結合しているのが特徴)。 |
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このタイプのガングリオシドは系統進化の過程で陸上四肢動物と魚類との関係を比較したときに興味深い分布を示しており,更に解析を行っている。 |
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2.生物界での糖脂質分子種の存在パターンの解析 日本脂質生化学会ではLipidBankと呼ぶ,脂質のデータベース( http://lipidbank.jp)を構築している。筆者は長年糖脂質部門の委員として,データベース構築に関わってきた。現在このデータベースのwiki化とデータの蓄積・修正作業を行っている。新しいデータベース(http://jcbl.jp/wiki/Category:LB)では現在までに脂肪酸,アーキア脂質がほぼ完成し,現在スフィンゴ脂質の改訂中である。このデータベースから糖鎖構造の生物種における分布が分かる。例えば無脊椎動物と脊椎動物では共通して分布している糖鎖は少なく,それぞれに特徴的な分布をしていることが分かる(下左図) |
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データベースの構造構築と共に,まだ解析が十分でない生物群について,糖脂質分子種の解析を行うことが必要であるが,糖鎖構造を確定するためには,大量の試料が必要であることから困難な場合が多い。最近の質量分析装置の発達により,ある程度の情報は微量の試料から得ることができるので,その活用も課題としている。 3.糖脂質が関係する疾患の解析 神経内科の研究者と共同で,ギラン・バレー症候群における抗ガングリオシド抗体の解析などを行ってきた。最近では成人後に発症するガングリオシド−シス様の症例について,国立相模原病院神経内科医長・長谷川一子博士との共同研究を行い,この症例ではGM2と呼ばれるガングリオシドが蓄積していることを報告した。 II プロフィール 1986年 東京医科歯科大学・大学院医学研究科・生化学専攻終了。医学博士 1986年 北里大学医学部・生化学教室助手 1990年 Albert Einstein College of Medicine Research Associate (ニューヨーク州) 1992年 北里大学医学部に復職,講師,助教授を経て, 2008年 北里大学一・般教育部・生物学単位教授。現在に至る。 Ⅲ 所属学会 日本生化学会,日本脂質生化学会(幹事),日本糖質学会,日本質量分析学会,日仏生物学会,International Society for Neurochmeistry Ⅳ 学生の受入 2014年 北里大学理学部生物科学科・卒研生 1名 「アルマジロ脳ガングリオシドの解析」 2015年 北里大学理学部生物科学科・卒研生 1名 Ⅴ 研究業績 つぎの所に掲載 http://kerid-web.kitasato-u.ac.jp/Profiles/45/0004413/theses1.html |
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2015.05.20 |
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