ここまでの復習と応用

これまでの内容を踏まえつつ、もう一歩進んだ内容を学ぶ。

グラフの変更

「Excelでグラフを作る1」で作ったExcelファイル「東京の気温」を開く。 「年の値」の折れ線グラフを作ったが、これを8月のグラフに変更してみる。
グラフを選択 → データ系列を選択(折れ線グラフの線または点を1回だけクリック) → 表の赤枠と青枠をそれぞれ8月の列までドラッグ

グラフの系列の変更1

グラフの系列の変更2


縦軸の最小値と最大値を8月の気温に合わせて変更すれば完成。

縦軸の境界値の変更


グラフの追加

先程作った8月のグラフに、1月のグラフを追加する。
グラフを選択 → 「グラフのデザイン」タブの「データの選択」ボタン

データの選択


参考のために、「8月」を選択して「編集」ボタンを押し、内容を確認しておく。

8月を編集 8月の内容を確認


「キャンセル」して戻り、「追加」ボタンを押す

系列を追加


系列名と系列値のそれぞれに、8月のセル番地のJをCに置き換えたものを入力

1月の内容を書く


1月が追加された。
(本来は横軸ラベルを修正すべきだが、今回は修正しなくても影響はないので省略する。)

1月が追加された


凡例を追加し、縦軸の最小値を「0.0」、主目盛と補助目盛の間隔をそれぞれ「5.0」と「1.0」に変更したら、完成。

縦軸の境界値と目盛間隔の変更


散布図による時系列グラフ

時系列データのグラフを、折れ線グラフではなく散布図で描くこともできる。
B列のB3〜最新年と、O列のO3〜最新年を選択(「Excelでグラフを作る1」参照) → 「挿入」タブのグラフボタンの「散布図(直線とマーカー)」を選択

年と年の値のデータ範囲を選択


グラフの設定
・グラフの位置と大きさを調整
・縦軸と横軸の最小値・最大値・主目盛間隔を調整
・縦軸の数値の小数点以下の表示桁数を0にする
・タイトルを「東京の気温(℃)」にする

グラフの設定

完成。 散布図の横軸は項目軸(テキスト軸)ではなく数値軸なので、縦軸と同じく最小値と最大値を柔軟に決めることができる。


グラフの分割

散布図を複数の系列に分割する。
グラフを選択 → 「グラフのデザイン」タブの「データの選択」ボタン → 「年の値」を選択して「編集」を押す。
系列名を「="1876〜1929年"」
系列Xの値を「=Sheet1!$B$4:$B$57」
系列Yの値を「=Sheet1!$O$4:$O$57」にして「OK」

年の値を選択 1876〜1929年にする


「追加」を押す。
系列名を「="1930〜1999年"」
系列Xの値を「=Sheet1!$B$58:$B$127」
系列Yの値を「=Sheet1!$O$58:$O$127」にして「OK」
さらに「追加」を押す。
系列名を「="2000〜2020年"」
系列Xの値を「=Sheet1!$B$128:$B$148」
系列Yの値を「=Sheet1!$O$128:$O$148」にして「OK」

1930〜1999年を追加 2000〜2020年を追加


系列が3つになった。「OK」を押す。

系列が3つになった


凡例を追加し、プロットエリアの大きさ等を調整して、完成。
3つの期間に分割された。

凡例を追加と全体の調整



応用問題

次の表は、厚生労働省の報道発表資料から読み取った2020年3月15日〜5月10日(いわゆる第1波の時期)の新型コロナウイルス感染者数(PCR検査陽性者数)をまとめたものである。
これに基づいて、下の指示通りに表とグラフを作りなさい。

新型コロナウイルス感染者数
発表日 感染者数(累計)
2020年3月15日 777
2020年3月16日 809
2020年3月17日 824
2020年3月18日 868
2020年3月19日 907
2020年3月20日 943
2020年3月21日 996
2020年3月22日 1046
2020年3月23日 1089
2020年3月24日 1128
2020年3月25日 1193
2020年3月26日 1292
2020年3月27日 1387
2020年3月28日 1499
2020年3月29日 1693
2020年3月30日 1866
2020年3月31日 1953
2020年4月1日 2178
2020年4月2日 2381
2020年4月3日 2617
2020年4月4日 2935
2020年4月5日 3271
2020年4月6日 3654
2020年4月7日 3906
2020年4月8日 4257
2020年4月9日 4768
2020年4月10日 5347
2020年4月11日 6005
2020年4月12日 6748
2020年4月13日 7255
2020年4月14日 7645
2020年4月15日 8100
2020年4月16日 8582
2020年4月17日 9167
2020年4月18日 9795
2020年4月19日 10361
2020年4月20日 10751
2020年4月21日 11119
2020年4月22日 11496
2020年4月23日 11919
2020年4月24日 12388
2020年4月25日 12829
2020年4月26日 13182
2020年4月27日 13385
2020年4月28日 13576
2020年4月29日 13852
2020年4月30日 14088
2020年5月1日 14281
2020年5月2日 14544
2020年5月3日 14839
2020年5月4日 15057
2020年5月5日 15231
2020年5月6日 15354
2020年5月7日 15463
2020年5月8日 15547
2020年5月9日 15649
2020年5月10日 15747

【1】次の条件で表を作りなさい

  1. 上の表をコピーしてExcelに貼り付ける。セルB2が題名になるようにする。
  2. セルD3に「新規感染者数」と入力する。 さらに、その下の各セルに引き算の式を入力して、新規感染者数(=前日からの増加数)を計算する。 この時、3月15日だけは前日のデータが存在しないので空欄のままにする。
  3. セルE3に「新規感染者数(常用対数)」と入力する。 さらに、その下の各セルにLOG10関数を入力して、新規感染者数の常用対数を計算する。 ただし、3月15日は空欄のままにする。 なお、LOG10関数は「関数の挿入」の「関数の分類」で「数学/三角」を選ぶと見付けられる。
  4. 感染者数の数値に桁区切り(,)を表示する。
  5. 常用対数の数値を小数第2位までの表示にする。
  6. 列幅を適切に拡大する。項目名を太字の中央揃えにする。
  7. 罫線(格子)を引く。

    このような表になる。
    感染者数の表

【2】次の条件でグラフを作りなさい

  1. 表の発表日の列と新規感染者数(常用対数)の列を選択し、散布図(点のみ)を作る。
  2. 「グラフのデザイン」タブの「データの選択」ボタンを押し、「新規感染者数(常用対数)」を「編集」して、系列名を「="3月16日〜4月12日"」、系列Xの値と系列Yの値を3月16日〜4月12日のセル範囲に変更する。
  3. 系列を1つ追加し、系列名を「="4月13日〜5月10日"」、系列Xの値と系列Yの値を4月13日〜5月10日のセル範囲にする。

    この時点では、このようなグラフになる。点の色はこの図と違っていてもよい。
    この時点でのグラフ

  4. 「グラフ要素を追加」ボタンでグラフタイトルをグラフの上に追加し、タイトルを「新規感染者数(常用対数)」にする。
    グラフの下に凡例を追加する。
  5. 縦軸の目盛の範囲を0から3までに、目盛の間隔を1にし、数値の小数点以下の表示桁数を0にする。
    横軸の目盛の範囲を3月15日(シリアル値43905)から5月10日(シリアル値43961)までに、目盛の間隔を7にし、日付の表示を「月/日」の形式にする。
  6. 系列「3月16日〜4月12日」の回帰直線を追加し、数式を表示する。
    系列「4月13日〜5月10日」の回帰直線を追加し、数式を表示する。
  7. グラフおよび各要素の位置と大きさを調整する。下図と全く同じでなくても、見やすければよい。

    最終的には、このようになる。点と直線の色はこの図と違っていてもよい。
    完成した表とグラフ


【解説】

ある量の変化率が一定の場合、その量の対数は変化量が一定となる。 また、ある量の時間ごとの変化率が一定の場合、その量は時間の指数関数で表すことができ、 その対数は時間の一次関数となる。 つまり、新規感染者数が毎日一定の比率で変化するならば、その対数のグラフは直線となる。

実際のデータは完全な直線にはならないが、上のグラフから直線的傾向を見て取ることができる。 その傾向を数値で表したものが回帰直線の式である。 回帰直線の傾きが、3月16日〜4月12日は 0.0550、4月13日〜5月10日は -0.0282 となった。 これらは、新規感染者数が1日当たりそれぞれ 100.0550≒1.135、10-0.0282≒0.937の比率で変化する傾向を示している。 言い換えると、3月16日〜4月12日は1日当たり13.5%増加、4月13日〜5月10日は1日当たり6.3%減少する傾向があった、ということになる。

この例のように、指数関数的に変化する量は、対数のグラフにすると直線的になり分かりやすい。